「後見人」という言葉、あまりなじみのない言葉かもしれません。
イメージとしては、「判断能力がなくなってしまったときに、代わりに公正な判断をしてくれる人」でしょうか?
両親がいない未成年者に後見人がつく、という話は聞いたことがありますよね。
大人になって後見人なんて関係ない話では、と思いがちですがそうでもないのです。
今や2人に1人が認知症になる時代。
認知症になるとどんな制限があるかご存じでしょうか?
・お金の管理(銀行口座の凍結)
・契約行為(不動産の売買、賃貸借契約など)
・医療や介護施設の利用
詐欺や悪質商法被害に遭うリスクが高まるため、お金を自由に引き出したり、振り込みができないようになります。
契約行為なんて怖くてできないですよね。
でももしアパート経営などされていたら、賃借人との契約や、建て替えようという時に工事会社と契約ができなくなります。
介護施設に入る資金が欲しい、と不動産を売却したくても、それができません。
そうなると「後見人」を立てて代わりに判断をしてもらうことになります。
後見制度には「任意後見」と「成年後見」の2つしかありません。
「任意後見」とは、元気なうち判断能力がはっきりあるときに、自分が判断能力が亡くなった時にこの人にお願いしたい、と本人が決められるのです。
本人の意思をくみ取ってくれる人を選ぶことできます。
ところが認知症になってしまった後は「成年後見」という制度しか選択肢がなくなってしまいます。
この場合には、裁判所が後見人を選びますが親族が選ばれることはありません。
そしてその先ずっと後見人に報酬を払い続けなければなりません。
本人の希望というより、財産を減らさないようになどが判断基準になるため、本人にとって何が必要かは考慮されないのです。
介護施設に入りたいから不動産を売って資金を作りたい、という必要があっても認められることが少ないのです。
何のための後見人なんだか・・・と残念でしかありません。
なので早めに「任意後見制度」を利用するための準備が大切です。
お願いしたい人と契約を交わしておくだけです。その契約書を公証役場で保管してもらいます。
もし認知症を発症しなければ、後見してもらわなければいいのです。
自分が認知症になるとは考えられない、と思われている方が多いとは思いますが、
本当になってしまったとき、自由の利かない「成年後見制度」を強いられるよりは、意思を尊重してくれる「任意後見制度」を利用した方が
本人にもご家族にとっても、安心して幸せなことであると思います。